歯の材料差額について

Q3. 前歯の金合金は材料差額があるのですか?

秋元:病院に入院する際の差額ベッド(室料差額)と並んで、患者負担を例外的に求めるのが材料差額でした。材料差額は、国民皆保険が始まって以来続いていましたが、1967年ごろから1976年まで、歯科では差額の範囲が拡大され、高額な治療をした場合、保険と保険外の診療をあいまいにしたまま、窓口負担に上乗せしてある程度の金額を請求すること(差額徴収)が一般的に行われていました。

これが不明朗な診療費となり、大きな社会的批判を受け、その結果、差額徴収はなくなりました。

現在、保険で決められた窓口負担以上の費用を患者さんが負担するケースは保険外併用療養制度と呼ばれ、そこには差額ベッドのように例外として定められた「選定療養」と、主に大学病院などで行われる新規技術の「評価療養」があります。

歯科の選定療養には、①前歯の材料差額、②金属床義歯、③小児う蝕治療後の継続管理があります。もっとも現在では、差額ベッドのように保険給付で足りない差額の負担が求められるケースは、歯科ではほとんどありません。

歯科では、保険を中止して自費治療に移るという方法が一般的で、煩雑な手続きを必要とする選定療養はあまり使われません。入れ歯の土台を金属でつくる金属床義歯は、プラスチックの義歯に相当する金額だけが保険で給付され、それ以上の金額は患者さんの負担になります。