歯科医院による保険治療の違い
Q4. 歯医者さんによって、保険でできること、できないことって違うの?
秋元:「保険でできること/できないこと」の線引きは、全国一律で明確に決まっています。保険診療は、材料や治療の順序などが詳細に決まっていて、それを踏み外すと歯医者さんは報酬を受け取ることができません。その意味で、線引きは明確です。
ただし、規則の解釈は都道府県ごとに違いがあります。もうひとつ、保険で「したくないこと」は、歯医者さんの考え方次第ですので、ある医院で「できる」と言われたことが、別のところでは「できない」と言われることがあります。保険でできることを「勧められない」「したくない」と規則上は言えないのですが、この約束事はかなり崩れています。
歯医者さんがちゃんと説明してくれないことも、この問題を難しくしています。保険歯科医は、患者さんに保険外の診療を積極的に勧めてはいけないことになっています。なぜなら、患者さんの意思表示がないときでも、患者さんが保険証を携帯し提示した場合には、患者さんは保険診療を求めていると解釈しなければならないからです。
保険外診療について自分から積極的に推奨できないので、なんだか奥歯にものが挟まったような勧め方をします。そこで通常は、保険では身体に良い貴金属や自分の歯とそっくりに見えるセラミックが使えないというように、材料の制約があることで、保険外診療の優位性を説明します。