歯のインプラント治療について

歯のインプラントとは

自分の歯の代わりに、根っ子から金属に置き換えるのが歯科インプラントです。いわゆる「差し歯」との違いは、差し歯は、歯の根っ子が自前のものであるのに対し、歯のインプラントはチタンという金属です。
ブリッジや入れ歯とインプラントの違いは、ざっくり言えば、根っ子のあるなし。ブリッジや入れ歯は、自前の歯で支えます。

ブリッジは両隣の歯にかぶせた
クラウンによって支えられます
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入れ歯は歯と粘膜によって支えられます
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インプラントは骨の中に埋めた金属によって
支えられます
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歯のインプラントの歴史

インプラントという治療技術は、古代からあって、入れ歯より古く、酸化チタンが骨に結合することをブローネマルク(P.I. Brånemark)が偶然に発見し、その原理をインプラントに応用しました。

長期間の臨床研究を発表してから飛躍的に信頼性が高まり、確実な治療法になりました。最初の臨床実験が始まったのは1965年、それから15年を経過した頃から臨床成績が発表されるようになりました。

そして、そのインプラントが商品として出回るようになった1980年代末から、インプラント治療は、それまでのインプラントとはまったく違った確実な治療法になりました。

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最初は、総入れ歯が使えない人のために数本のインプラントを土台にして、そこに入れ歯をネジ留めする「インプラント・デンチャー(インプラントだけを支えにした入れ歯)」から始まりました。

現在もアゴの骨が吸収して入れ歯が安定しない人にとって、インプラントだけを支えにした入れ歯は、他に代え難い価値をもっています。
現在では、総入れ歯の代わりだけでなく、安定しにくい部分入れ歯に代わって、これまでブリッジが使われてきた1〜3歯の欠損の治療にも使われるようになっています。
さらにブリッジに比べて歯を削らないという利点のために、1本の歯を破折などで失った場合などにも応用されるようになっています。2000年頃までは、歯ぐきに近い部分の外見にやや不自然な面がありましたが、審美面での材料や治療術式の開発が急速に進み、前歯部の単独欠損にも使われるようになっています。

とくに、部分入れ歯は安定が悪く、従来から患者さんの不満が強かったのですが、そのために現在では部分入れ歯の代わりにインプラントが用いられる傾向にあります。保険診療で使えないこともあって、高額の治療費がかかる点が欠点ですが、その点を別にすれば、歯科の補綴(入れ歯やクラウン・ブリッジをこのように総称する)治療にすっかりとって代わる勢いです。しかし、どんなに優れたインプラントでも、自分の歯に比べると劣ります。

医療ジャーナリスト・秋元秀俊さんのコメント

ネット上では歯科医院によるインプラントの宣伝が、これでもかという程に溢れています。これはわが国特有の現象です。国は医療の広告を制限していますが、インターネットは広告に当たらないと判断しているため、現在のところ野放し状態です。

ただ、本来、医療機関は、医療行為について宣伝をしないことが原則ですので、インターネットで情報を出していない医療機関が「不親切だ」とは決して言えません。また、インターネットで公開されている治療費は参考になりますが、いずれにせよ実際の治療費は診査を受けなければ分かりません。

インプラントは、他の治療方法に比べて治療費がかなり高いことが欠点です。治療成績が比較的良く、患者さんの納得が得られやすいため治療費が高額になっていますが、十分な説明を受け、歯科医まかせにせず、納得してから治療を受けるべきでしょう。

インプラント手術の治療費とは別に、毎回の診療費がかかる場合や、反対に術後一定期間のメインテナンス費用が治療費に含まれている場合など、治療費の決め方は多様で、施設条件も手術室が完備され麻酔科医が常勤しているところから一般の診療台で院長一人というところまで様々ですから、治療計画とともに見積を求めるとよいでしょう。

治療費の大半は、診断料、治療計画料、技術料、施設料で、材料費や薬剤費の占める割合は1〜2割です。このため幾らが妥当かという価格の基準はありません。

東京医科歯科大学歯学部附属病院の料金(保険外)は、インターネットで見ることができます。施設や人件費に国の予算が投じられ、教育目的の病院ですので、市中の料金より安めに設定されていますが、参考になります。
http://www.tmd.ac.jp/cmn/rules/houki/9hen/3shou/9309ryoukin.pdf
なお、インプラントの関連の費用は、市中に比べて安くありません。